モデリング 〜自閉スペクトラム症のお子さんの場合〜
〜モデリングとは〜
モデリングは、「学習」の方法の1つです。人は他人の行動を真似して学びます。このことを心理学では「モデリング」といいます。人は、自分が褒められたりして「直接強化」されるより、モデリングによって間接的に強化される「代理強化」の方が多いといわれています。
子どもは、「大人の“言うように“ではなく、大人の“するように“する」とよく言われています。ガミガミと言葉で注意したことは、さほど聞いておらず、「大人が普段しているように行動する」のです。子どもに適応的な行動をして欲しいと願っているならば、周りの大人がそのお手本となるような行動をする必要があります。
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〜自閉スペクトラム症のお子さんの場合〜
自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんは、自分の周囲のモノをとらえる時、周りの大人がその事物をどう扱うかを、実はよく見ています。周りの大人のふるまいから、「モノの価値を見いだしている」...とも言えます。
大人が大事そうにしているモノは、子どもも大事に扱うようになります。逆に、乱暴に扱うと、雑に扱うようになりがちです。つまり、大人をモデルにしているのです。
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ASDのお子さんに対して、療育ではよくSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などをおこないます。しかし、ASDのお子さんは行動が般化(汎化:はんか)されにくいことがわかっています。
汎化とは、他の場面で応用することができることです。
私の印象だと、訓練として学ぶSSTよりモデリングから学んでいるお子さんが多い気がします。つまり、設定された枠組みのなかで、訓練として社会的行動を練習するより、日常生活のなかで周りの大人がすることを真似ていることの方が多い...ということです。
モデリングは、テレビやアニメからも同様な影響を及ぼすことがわかっています。少し重い自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんの場合、想像力の弱さから、「テレビやアニメの世界が現実とは違う」ということを、あまりきちんと認識していない可能性があります。メディアからの影響が強く、同じような行動が頻繁に見られるときは気をつけておく必要があります。普段見ているテレビやアニメ、ゲームなど、あまり真似て欲しくないものは、少し遠ざける方がよいと思います。
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「大人の振る舞いを真似る」ということでいうと、人への接し方も大人がモデルになっていることが多いです。例えば障害のある人が近くにおられたら、大人がその人にどう接するかによって、子どもが同じような場面でどのように振る舞うかが変わってくる...といえます。障害のあるお子さんに、あたたかく接し、優しく声をかけると、子どももだんだんと大人の行動を真似るようになります。
「子どもは親の鏡」とは、よく言ったものですね😊
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*こども発達支援 みのりは、2021年夏、岡山市にオープン予定です。
*画像は写真素材サイト「photoAC」の写真レーター、ちゃぁみいさん撮影のイメージ写真です😊